声に出したい日本語

たとえば、いのおけい

ミュージカル「ハル」を観て、薮くんに惚れた話

 

ご無沙汰しております。

このブログは”まるでジャニーズに縁のなかった私がずぶずぶ沼に落ちるまで”を記録することを目的として開設したのですが、早いもので私がHey!Say!JUMPを好きになってから3年目の春を迎えました。

 

でもまだ新たな衝撃や、どうしよう好きかもしれない…という”落ちた感覚”みたいなのってあるんですね。ありました。

 

ミュージカル「ハル」を観て、完全に薮くんに落ちました。

 

いや、そもそも、そのちょっと前から薮くんたまらないな…というトキメキを感じていましたし、なんなら浮気性な私は今年に入ってからジュニアに推しが増えてたりと好きな男が増えすぎでは?という現象に陥っているので説得力とか皆無なんですけど…

HiHi Jets作間龍斗くんが最高なブログもはやく書きたいな)

 

 

でもこれだけはわかる!

 

薮くんは、ミュージカルにめちゃくちゃ向いている。

 

そういうわけで、本投稿は前回出演したミュージカルのことも何もしらない薮くん初心者伊野尾担によるハル感想ブログです。

 

まだ公演が残る中ですが、ネタバレを含みますのでご了承ください。

 

主に作品の内容と、薮くんの演技と歌についての解釈のお話をしますが長くなります。

 

f:id:fmsykj:20190427132501j:plain

桜の季節でよかったな。

 

まず、作品について。

 

ハルという作品については公式を参考程度に以下をご覧ください。

www.ktv.jp

 

ストーリーについて私の解釈を含みざっくりご説明いたしますと、ハルとその周りの人々がこの時代を生きる意味を問いていく、というかんじなのですが、備忘録としてっも以下に問いかけられたテーマをまとめておきます。

 

・心臓移植を受けた少年ハルは、”自分はこの心臓をもらうに相応しかったのか”という自問自答

・それを受けた周囲の友人たちの受け止め方や、親子関係

・人口減少、バブルの崩壊、震災といった時代の変遷によって活気を失ってしまった地域をどのように魅力化していくのか

・閉鎖的なコミュニティのなかで必ずしも自分らしく生きることが正しいとされない風潮に苦しむ住民の葛藤

 

まあざっくり言えばハルはなんのために生きてるの?って、周りからも言われる。自分にもわからない。でもそれってハルだけの問題じゃないよね、社会全体で投げかけるべき問いだよね。というかんじでした。

 

そこでこの作品として一つの答えのように提示されているのがボクシングや流星に象徴される一対一の本気のぶつかり合いで、衝突を避けて穏便にやりすごすだけなんて虚しい、本気でぶつかってみてもいいじゃないか、というテーマに終着していきます。

 

この小さな街のなかで薮くんが演じるハルという少年は、ある意味素直すぎて不器用すぎる。周囲の人たちが話が進む中で自分に素直になっていくなかで、ハルはずっと素直でした。

 

心臓移植を受けたことで一度自分は死んだ、今生きているのは本当は心臓の方で自分じゃないのではないか?と思ってはいるけれど、母親からの「心臓さえあればなんでもできる。全て元どおりになる」という言葉に呪われて自分を偽って生活している。でも、本当は誰かと衝突することもなく一人ぼっちでいることがすごく寂しくて虚しいことだと知っている。

 

 

私は、薮くんってとても自分のことも、周りのこともよくわかっているけれど、わかっていることを少し隠して相手が気張らないように配慮できる人だなと思ってます。

いわゆる”頭のいい人”らしい素ぶりというか、本当に賢い人ってとても難しいことを簡単なことばで表現できる人だと思うのだけど、薮くんってそういう人。

ハルは本当はわかっていることを、周囲による抑制とか気遣い癖のせいで解放できないでいたんじゃないかなと思ったりして、薮くんもそんな葛藤をもしかして乗り越えてきたのかな、なんて思ってしまった。

 

なんなら、ハルで描かれる登場人物たちの葛藤は誰しもが触れるようなものだった。

遠い存在であるアイドルの薮くんが、自分や周囲の人の経験を汲み取ってハルを解釈して演じたのだと思うと、おなじ現代社会のなかでいきている29歳の青年なんだなって実感してしまって…なんていうかしんどいです。

 

 

それからね、真由に引きずられるようにボクシングと出会うことで、本気でぶつかりあうことの大切さに気づき、いい表情ができるようになっていくわけなんですが、ハルと真由が打ち解けていくシーンで真由が「自分では嫌いかもしれないけど不器用さんも悪くないかも」って歌ってるんですよね。

 

え、オタクの代弁かな?

という気持ちになってしまったよ。ハルくんも、薮くんも、愛しいよ。

 

 

ハルという不器用だけどまっすぐ素直に生きているキャラクターが、薮くんと重なるところ、違うところすべて愛しくて、背景となっている街も社会も厳しいものなんだけど、なんだか勇気がもらえたり、それでも生きていかないといけない明日からの生活もなんだか悪くないかも、と思えたりしました。

 

 

そしてこれは完全に個人的趣向による解釈ですが、文化事業による地域復興という舞台のなかで、芸術文化寄りの施設(パラレルワールド)建設の破綻をスポーツ(街のオリンピック)という次のアイディアで立て直そう!って文化芸術のど真ん中である舞台芸術で言い切っちゃうのすげーなって思いましたね。パラレルワールドの企画に平田オリザ携わったっしょ?みたいな。

箱モノをつくるだけの企画が運営することもできず破綻し、お金なんてかけないであるものでやりましょう、と気持ちだけ持ち寄って実行したスポーツ大会に切り替えるって、そういうアイディアで街を盛り上げている地域は日本中にあると思うしなんだかリアルさを増していて、ぐっときましたね…

でも舞台芸術もいいよ。あの街に円形劇場ができていたらどうなっていただろうか。街の劇場があるからこうやって素晴らしい舞台を楽しめるんだと思うし、文化度って結構大事だよね。。。

 

あと印象的だったのはゴミのシーン。ハルが友人関係のなかで「ハルは心臓をもらうのに相応しかったのか」と生きる意味を肯定しあえない関係となったときに、パラレルワールドに不法投棄されたゴミが「お前らいらなくなったら捨てるのか?お前だってそうやって捨てられるぞ」みたいな歌とダンスをもって結構大事なメッセージが投げかけられるシーン。

でも恐ろしい光景をみたハルの友人たちは「昔のことだし知らないよね」「はやく綺麗にしてほしい」「ショッピングセンターになるんだろ?便利になるな」と問題を直視しない。それに対してハルが「本当にそれでいいの?」って問いかけていくわけなんですが、この作品が伝えたかったことのなかでも結構大事なところだったんじゃないかな、これ。

インパクトのある演出でメッセージが薄まってしまったようにも感じたけど、ここのシーン以外でもめちゃくちゃ重たいメッセージが詰め込まれてる作品だった。

 

総合してこの街に登場する人たちのなかには「絶対正しいこと」を言う人なんていなくて、誰もが少し間違って、自分を守ってたからこそ、なんだかリアリティがあったのかもしれないなと思う。セット一つとっても、セリフや歌詞の一つひとつにも緻密に意味が盛り込まれていて、伝えたいことが山ほどあったんだなあと思ったしなるべくたくさんの意図が拾えていたらいいな、と思いました。

 

 

作品の感想だけでだいぶ長くなってしまったな。

 

 

そしてね、ハルを演じる薮くんなんですが…

 

かっこいい

 

脚が長い顔が小さい声が良いとにかく歌がいい

 

て感じでした。

作品のなかで歌のパートは言葉に出して相手に伝えるには素直すぎてはばかられちゃうような本音、という意味を持っていたように思ったんだけど、薮くんの切なくて力強い歌声から切実な思いがめちゃくちゃ伝わってきて、薮くんはまじでミュージカル向いてる…と思った。

生のオケに薮くんの歌。え、夢…?ソロコン…?という気持ち。

一番最後、ハルが一つの生き方を見つけ出して決意を新たにする曲のところで、「ぶつかりながら ぶつかりながら」って半音あがるやつ、あれ好きですね(わかりづらい)

かっこよくて毎回涙がでた。真ん中で、堂々と歌い上げる薮くん。

 

 

そして、薮くんが…ボクサー?!という気持ちはもちろんすこしあったけど、強いわけじゃなくて、勝ち負けじゃなくて、ボクシングそのものに惚れ込む役としてめちゃくちゃよかった。ちょっと弱そうなのがいい。

でもSENSE or LOVEのツアー中から薮くんの腕の太さを観察していたけど、確実に鍛え上げられていてまじでかっこいい。あと顔が良い。

 

 

そして薮くんのマイクロスリップは回数をこなしていく舞台俳優として最高です。

マイクロスリップ。最近しったんだけど、こうやって動くと目的をもって行った身体動作に誤差がおきてしまうことらしい。

真由にボクシングを指導されるシーンや、バンテージを巻いたり自分でトレーニングするシーンが、数回みただけでもちょっとずつ毎回違う。

上手な俳優ほどマイクロスリップが減って均一な演技になりがちなのだそうですが、机をバン!て叩いたら鉛筆がおちてわたわたしちゃったりとか、なんか顎が出ちゃって真由に「顎引いて!」とかしばかれてたりとか、全然均一じゃなかったです。いい意味で。

アドリブではなくて、マイクロスリップで愛しさが滲み出ちゃう薮くん。最高です。

 

 

薮くんの演技や歌はいつも素晴らしくて、安定していて、でもちょっと愛しい誤作動があって、そのバランスがとてもよかった。もっと薮くんを生の舞台でみたい!と思ったし、北乃きいちゃんの身長が自分とあまり変わらないことを知ってしんどくなったりしました。

 

 

 

アイドルとして、俳優として、薮くんのかっこよさが堪能できる作品でした。

薮くんのこと、すごい好きになっちゃって、日に日に好きになっちゃって困ってます…はやくまた舞台やってください。

あと歌声が最高だったので音源化してください。よろしくお願いします。

 

平成最後の春、ハルに出会えてよかった!!!!!